自然派ワインの分類
自然派ワイン、オーガニックワイン、ビオワイン、ヴァン・ナチュールと呼び名は様々ですが、一言で自然派ワインと言っても、その自然度によって様々です。
図のように4つの分類にわけることができ、図の上に行けば行くほど、厳密な自然派ワインと言えるんです。
まず全体量も多く市場に多く流通しているのが<一般的な栽培方法で造られたワイン>です。
一般的な栽培方法というのは、いわゆる合成化学肥料や農薬を使用して生産効率を重視して製造される事を言います。
多くの人々が普段飲んでいるのがこのタイプのワインです。
次に自然派度が上がるのが、その上の段階にある<リュット・レゾネ>のワインです。
化学肥料や農薬を極力使わないワインの事を言います。
ただし<リュット・レゾネ>は農薬使用の基準がもうけられていません。
その次に自然派度が上がるのが<ビオロジック>のワインです。
これは、自然環境を尊重した方法で、合成化学肥料や農薬、除草剤などを一切使わない【有機栽培】の事です。
この方法で造られたワインには有機農法の認証機関<ECOCERT(エコセール)>
<AB(Agriculture Biologique)>などに認証された事を示しているものが多くあります。
その次に自然派度が上がるのが<ビオディナミ>のワインです。
これは生体力学農法とも言われています。
合成化学肥料や農薬、除草剤などを一切使わない有機栽培の<ビオロジック>をベースに、
生体の潜在的な能力を引き出し、土壌の活力をいかして作物を生育させる事を重視しています。
天体の運行にあわせて、植え替えや剪定、接木などの作業を行います。
また、プレパラシオンという自然の調合剤を畑に散布したり堆肥作りに使われます。
この<ビオディナミ>の国際認証機関がドイツの<Demeter(デメテール)>で、
認証されたワインにはマークが表示されています。
テロワール、ブドウの樹や実そのものを感じる自然派ワイン
化学肥料を散布した畑で生育したブドウの樹は、
その根を、肥料が比較的多くある地表面に拡げると言われています。
一方、有機農法をベースにした畑では、根は地表面よりも地中の奥深くへと伸びていきます。
そのため、根は、地中に含まれるミネラルなどを多く吸収することができ
ブドウの樹勢に大きな効果を与え、その土地のテロワール、旨みと特長あるブドウの実を
実らせるのです。
また、殺虫剤や除草剤などを使用していないため、微生物や昆虫などが多く生存し、
ブドウの生育環境としても自然環境としてもより良い状態が保たれる訳です。
しかし、こうした有機農法は、長い時間と手間がかかります。
そのため、<ビオロジック><ビオディナミ>のワインは、
大量製造のワインと比べると希少なのです。
自然派ワインの特長
ワインバーのオーナーの勝山晋作さんは
「得も言われぬ味わい。一度知ったらもう離れられない」と評します。
自然派ワインは一度口にすると、飲んだ人を虜にするそうです。
その特長は、素材の味が活きている点です。
有機農法で生育したぶどうの樹は、より土地のテロワールが強力に出たブドウの実を着けます。
その実を収穫する時には、多くが手摘みで行います。
そのため、ブドウの実についた天然酵母が保たれたまま醸造されるのです。
また、甘味や酸味を補うことがないので、ブドウの実そのままです。
さらに無濾過、無清澄、無着色で扱われます。
特に無濾過ではオリが多く混入しますが、これが旨みの元になっているので、
一見濁ったように見えますが品質には問題がなく、
まさにワインの美味しさがそのまま閉じ込められているのです。