ワインを飲んで頭痛になった!という経験をした方は少なくはないと思います。

まあ、ワインじゃなくても、お酒の飲み過ぎは、二日酔いや頭痛の原因ではありますが・・・

でも、いろいろあるお酒の中で、ワインはなぜ、頭痛を引き起こす原因として、

真っ先に、「ワインのせいだよ!」って矢面に立たされるのでしょうか?

時には、単なる飲み過ぎって可能性もありますよね?(笑)

 

ただ、ワインには、「お前が犯人だ!」と言われる宿命があります。

それが、ワインの醸造や瓶詰めの段階で加えられる

酸化防止剤・亜硫酸塩(H2SO2)・二酸化硫黄(SO2)です。

 

 

この亜硫酸塩が影響を及ぼすのが、体内のアルコールを分解するのに不可欠なグルタチオン

このグルタチオンは亜硫酸塩によって破壊されやすく、体内のグルタチオンが減ると、肝臓で酵素によって、アルコールから変えられたアセトアルデヒドが血液中にどんどん増えてしまい、その影響で頭痛や吐き気をもたらすと言われています。

 

では、なぜワイン造りに亜硫酸塩が必要なのでしょう?

それは、ワインがブドウを酵母で発酵させて造られるためです。

亜硫酸塩は、その酵母が増えて発酵が進みすぎるのを抑えたり、

好ましくない菌の増殖を抑えるために必要不可欠なんです。

また、ワインの酸化を防ぐ働きもします。

 

現代のようにワインを大量に生産し、しかも、世界の隅々まで流通させる時代には、その品質を保つためには、亜硫酸塩は欠かせないのです。

 

 

 

 

ちなみに、この亜硫酸塩をどれくらいワインに入れても良いかという上限の基準があるんですが、それが以下の表です。

※1リットルあたり 赤ワイン 白ワイン デザートワイン
EU 150mg 200mg 400mg
アメリカ 350mg
オーストラリア 250mg
日本 350mg

 

しかし、自然派ワインの生産者は、亜硫酸塩を加えることで「ワインが冴えない味になる」「ワインの一部が失われた事になる」と言います。

亜硫酸塩がワイン本来の旨味を失わせてしまうというのです。

 

また、亜硫酸塩が体内に蓄積されることへの懸念を口にする生産者もいます。

そのため、自然派の生産者は、亜硫酸塩をなるべく添加しないようにしています。

 

以下は、オーガニックワインの亜硫酸塩の基準を設けた一例です。

EUビオ・・・150mg/リットル(白ワイン

     100mg/リットル(赤ワイン)

アメリカ・・・10mg/リットル(赤白ワイン・Organic表記の場合)

        100mg/リットル(赤白ワイン・Made with Organic Grapesと表記の場合)

オーストラリア・・・120mg/リットル(赤白ワイン)

デメテール・・・90mg/リットル(白ワイン)

       70mg/リットル(赤ワイン)※ブドウの状態によって添加量に変化あり

ビオディヴァン・・・135mg/リットル(白ワイン)

ヴァンナチュール組合(AVN)・・・40mg/リットル(白ワイン)

 

このように、様々な影響が言われている亜硫酸塩ですが、全くワインに添加してはいけない・無添加という訳ではありません

そもそも亜硫酸塩自体は自然界にある物質で、ほとんどの人にとって無害だと考えられており、上記に記したようにワイン製造においては、その品質確保に欠かせないと判断されているからです。

では、無添加ワインはありえないのでしょうか?

酸化防止剤・亜硫酸塩に限って言えば、サントリーの酸化防止剤無添加ワインはありますけど・・・あれは、オーガニックワインではないので話が違いますが・・・

実は、可能なかぎり亜硫酸塩を添加しないで無添加ワインを造ろうと試みる生産者も多くいます。

しかし、亜硫酸塩を添加しない・量を少なくする場合、製造行程において、雑菌を増殖させない・酸化させないために、厳重な温度管理と細心の注意が必要で、時間と手間のかかる作業です。

 

©Gilles et Catherine vergé

そうした状況においても、例えば、フランス・ブルゴーニュの自然派ワインの生産者、

ジル・ヴェルジェは、亜硫酸塩・無添加で素晴らしいワインを生み出しています。

私たち飲む側からすると、頭痛の原因では?と考えられる亜硫酸塩ですが、ワインを生産する立場から見ると、製造に欠かせないものであり、それを無添加もしくは、限りなく添加する量を減らそうと努力する一部の生産者がいることも考える必要があるのでは?と思います。

そうした意味では、亜硫酸塩・無添加もしくは少量に抑えている自然派ワインは、生産者の努力の賜物でもあるのです。